君たちが明日の光だ

好きなものが好き

リューンとは

リューン

 

フロー flow 流れる、循環する

ダイ dye 滅びる、かすかになる

               (用法によって)ほしくてたまらない

 

フローは物語の中で唯一ストーリーを前に進められる人。

自分と他人との価値観とか思いを循環させられる人。

ダイは欲しくてたまらない力を手にしてしまって、自らの存在を(獣と共鳴していくことによって)かすかにしていってしまう人。

 

ダイは里を滅ぼす寸前まで剣をふるって、ダナトリアに復讐し、人を死(dye)へ導く。

フローは旅を始め、雨を終わらせて虹をかけ、復讐の連鎖を止めようとする。復讐の連鎖が止まって共生が可能になればまた命が循環(flow)する。

ダイは終わり。

フローは始まり。

 

滅びの剣は死を導く人のエゴや力の象徴。

魔法は新しく切り開くことや命の象徴。

 

リューンめちゃめちゃ“2”じゃない??調和の“3”は??と不思議に思いました。

月は2つ。

カダとナダージア“2”国の対立のために、中立的な立場にあったはずのルトフは襲われる。

3とは…?

 

私は差し当たり、

リューンとは他人を認めることを知る物語だと思ってるんですけど。

 

リューンて何なんですか?

 

リューン : Lune  月

滅びの剣、魔法がそれぞれ何かの象徴であると勝手に解釈したので、月も何かの象徴なのでは?と思い「月 象徴」でGoogle先生にお尋ねしました。ウィキペリア、じゃなくてWikipediaがソースなのでアレですが、はじめの方でヒットしたのがタロットカードの月。

正位置の意味:不安定、幻惑、現実逃避、潜在する危険、幻滅、猶予ない選択、踏んだり蹴ったり、洗脳、トラウマ、フラッシュバック

逆位置の意味:失敗にならない過ち、過去からの脱脚、徐々に好転、(漠然とした)未来への希望、優れた直感

まんまフローとダイに当てはまるところがあるじゃん…と泣きそうでした。

 

フローは典型的なPTSDです。きっかけになるワード1つで戦争のトラウマがフラッシュバックする不安定な面が如実に出ていました。魔法があれば調和が戻ると、願いというより幻惑されているような印象を最初は受けました。魔法使いの血を引いている可能性があるフローを「リューンの生き残りか…!?」とダナトリアが思い出すほど、カダにとってフローの生まれた里は潜在する危険のひとつだったのかもしれません。蜂を殺すタイプのダナトリア様ですから。そして迷う猶予が全くと言っていいほどない選択を迫られます。「僕がリューン・ダイを殺してくる」「いいよ」「左腕にしてもらってもいいかな」と決断するフローは、正位置のカードにあった全ての意味を自らの行動でもって覆していきます。”運命と戦った“フローは本当に本当にかっこよかった。

 

ダイは「負けちゃダメさ暗い過去の記憶に」と過去からの脱脚と平和を願い剣を磨きます。里が襲われてる、とファンルンが気付いた時に真っ先に見張りのマーナムを思い、滅びの剣を奪って駆け出します。15歳の戦士見習いが咄嗟に師匠の助太刀に向かうのに、滅びの剣を持って対峙しようなんて冷静な判断ができるとは思えないんですよね。強い力が必要、と悟ったダイの優れた直感がそうさせたような気もします。失敗にならない過ち、は、ダイス先生が失敗にならないようにしてくれた、ともとれますが、、、ダイは最初から「道を誤った時」って言うんですよね。「失敗した時」とか「迷った時」とか「期待を裏切った時」とか言わないんですよ、「道を誤った時」って言うんですよね…。ダイが滅びの剣を抜いてしまったことも失敗じゃない、人を守りたいという気持ちも、5歳の時のように隠れているだけじゃだめだという焦燥感や責任感も、家族を背負って戦う戦士としての気概も、きっとあったよね、ただ方法を誤っただけ、と言ってあげられるような気がして、私はこの意味に救われました。そして未来への希望に(漠然とした)とついているのがたまらなくて。弔いの旅はそもそも終わるのか、ダイの未来はどうなるのか、という心配はあるけれど、リューンの残した「未来は決して暗くはない」という言葉。漠然としているし、明るいとも言ってくれないけれど、未来に希望はあるんだなって思わせてほしい。

 

タロットを引きずると、対で犬が描かれていて、「性質が対する同一存在の対立像を通して、内面に浮かぶ葛藤を表現している」。フローとダイはそれぞれにまっすぐですが、これって1人の人間の中で成立する葛藤だと思うんですよね。天使と悪魔が囁く、どっちにしよう、っていう。それを2人の少年に具現化することで対立させた、と考えることもできるのか?と…リューンやっぱり2では?(堂々巡り)そもそも月のカードは18番らしく、2×3×3だな…対立と調和が並んでいる…と混乱しましたが、

カードの要旨は「自らが導く、未だ見えざる真実への道程。それを辿ることの困難」→これリューンでは???リューンでいうところの“真実”は“平和、調和”。

月の象徴は「真実への導きを与える、無名無形の見えざるもの」リューンでいうところの真実≒平和、調和への導きを与えるものって“歌”だと思うんですけど、形のない見えざるものです。

 

リューンとは平和、調和への導きを与える歌の象徴。祈りであって、願い。

「僕の歌は祈りだ。だから僕は殺された人たちのために歌ってるんだ」

パンフレットの篠原さんの言葉を反芻すると、自分の中では少し納得できてしまって。

このフローのセリフにテーマが集約されるのかな、と思いました。

 

 

「だから聴いてほしい。風の中の声を。耳をすませて。」

嘆きも叫びもあるけれど、歌も笑い声も、レクイエムも耳をすませば聴こるはずで、

相手の声を聴いて人を認めることが、争いを収束させて調和をもたらす唯一の術ではないですか?っていうことかなと思いました。

 

 

ゲド戦記に影響を受け、実際に戦地にいた子をモデルとしたファンルンが登場するリューンが、タロット1枚に集約されるわけないです。プロジェクションマッピングに映し出されるどこかの国の文字やオビオテ語も、食事をかきこむ文化やせむし男のカーストも、もっと色々な文化の要素がたくさんあるはず。調和の3についての考察もどこかにいってしまったけれど、リューンとは?に対する自分の答えのひとつめができました。こんなのきっと外れ値だろうけど。笑